水辺に映る月さえ氷るように感じられるほどに、朝夕は言うに及ばず、
いよいよ寒さも本格のこの頃。12月ともなると、急に年末らしく
感じられてきて、今年も残すところ僅かとなりました。
一年を振り返ってみると、誰もが口を揃えて言うことですが、時の流れの
早さに驚愕していまいます。シェイクスピアの残した一行は永遠* だと
いうのに、一瞬で終わってしまった僕の一年って一体‥‥と妙に深く
考え込んでしまった狛犬です、こんにちは。
※ 王侯が作らせる大理石の彫刻も 金箔を押した記念碑も
私が書く詩よりも後まで残ることはなくて
月日が経つうちに掃除するものがなくなって汚れるのに任せた石が
遠く及ばないくらい明るく君は 私の詩の中で輝き続けるだろう
(シェイクスピア ソネット集 第55番)
前回まで
前回はプリンの黄金比にはじまって建築の歴史を辿りました。
建築における完全美を追求した古代ギリシア建築、
建築が都市を体現するようになった古代ローマ建築、
神の視座のもと「空間」の重要性が増したゴシック建築、
そして、建築における装飾性が花開くルネサンス建築。
(ロマネスクなど重要な様式が抜けていますが要約すればこんな感じです)
その後の展開 バロック以降の建築空間
その後は、ルネサンスで花開いた装飾性に一層の磨きがかかります。
ルネサンス時代は主に表層(ファサード)での装飾性がメインでしたが
その後のバロック時代になりますと、装飾性は遠近法的に発達します。
装飾はより動的で劇的な効果を求め、空間的な厚みを持って
見る者に強烈な印象を与えることが意図されるようになります。
壁面は歪み、凹凸が激しく、ダイナミックな印象を与え、
視覚的な効果が徹底して追求されるのがバロック建築の特徴です。
バロック末期の18世紀前後には過剰に優雅なロココ様式が生まれ、
その後も様々な様式の発生と古典回帰を繰り返し、産業革命を経て
モダニズムに至ります。
これまでの流れでもわかるように、モダニズムに至る空間の歴史は
あくまで装飾の様式をめぐる歴史と言っても過言ではありません。
そうした様式に立脚した建築観に対するアンチテーゼとして、
建築の合理性や普遍性を追求するモダニズム建築が生まれました。
Less is More より少ないことはより豊かなこと。
モダニズムの巨匠といえば、狛犬はミース・ファン・デル・ローエを
真っ先に思い浮かべます。ミースの建築は装飾的な要素、無駄な要素を
一切排除したミニマリズムで貫かれていて、極めて限定的な要素だけで
建築が構成されているため、素材やディテール処理は徹底的に考え抜か
れて設計されており、素材とディテールと空間が呼応し共鳴する
ようなシンプルでいて非常に豊かな空間を追求しました。
シンプル=EASYではなく、シンプルになるほど精緻なディテールが
求められるという逆説をミースは「神はディテールに宿る」とし、
そうした精神を「レス・イズ・モア」と表現しました。
モダニズムの精神を象徴するキーワードです。
Less is Bore より少ないことは退屈なだけ。
これはポストモダンを代表する建築家ロバート・ヴェンチューリが
語った言葉です。建築には複雑さや曖昧さこそが重要なのだ、という
モダニズムの合理精神に対する皮肉が込められており、モダニズムが
「無駄」の一言で切り捨てた装飾性、遊び心、矛盾性といった要素を
敢えて取り入れることで複雑性や多様性を表現しようというわけです。
これは全てが完璧なまでに整備されたニュータウンの風景の退屈さと、
都会の路地の持つ何とも言えない魅力を思い浮かべてみれば
とてもしっくりすることです。
More is More より多いことはより豊かなこと。
こちらは現代を代表する建築家レム・コールハースの言葉。
ストイックな側面には完全に見切りをつけ、禁欲にかわって
「欲望」を全面的に肯定します。高度資本主義の現代で空間とは
尽きることのない欲望を充足するためだけの装置に過ぎない、
という思想に基づき、欲望増幅装置として大胆に都市を再解釈します。
コールハースの提出する空間は、あらゆる要素が高密に圧縮され、
並置され、それが都市へ拡大していくような、言葉に出来ないくらい
ラディカルな空間です。
というわけで、、
冒頭に戻ると、シェイクスピアの一行はレス・イズ・モアかもしれないが
狛犬の1年はモア・イズ・モアな365日なのだ!と頭を切り替えてみました。
何はなくとも、この一年で様々な出会いがあり、一年前とは別次元の
時間を生きているように感じますし、そして今年も色々な方々に支えられて
今があるのだなぁとしみじみ思われてくる師走なのでした。
ともかくもあなた任せの年の暮れ 小林一茶
(少し早いですが・・)ブログを見ている皆様、どうぞよい年越しを・・
☆続き(というより、本題)はまた次回(というより来年)へ。。
一応1000円ネタなのです ←伸ばし過ぎ 狛犬
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