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2007年10月19日 (金)

抹殺された純愛

競馬といってもレースが全てではありません。
醍醐味の一つに「血統」というものがあります。

普通の馬とは違うサラブレットとは人間が作り出した英知の結晶です。
遺伝が色濃く出て、父・母の能力を仔が引き継ぐのは当然として、
その祖父、またその祖父・・と何代も重ねていった結果、
サラブレッドは誕生するのです。
そして、犬猫と同じで血統書が添えられターフにデビューします。
普通ならば。

カズノコマチという牝馬が居ました。
今から8年前に船橋競馬場で活躍した馬です。
その日もレースに出走する為に、午前中から調教に勤しんでいましたが、
厩舎関係者が異変に気づきました。
それは馬体重を量る時。

「体重が増えすぎている!」

いくら休み明けで成長期だとしても+60キロはありえない。
これだけ調教も休まずこなしているのに・・。

「まさか、、妊娠しているのか?」

その、まさかでした。
獣医に診てもらったところ、妊娠11ヶ月。
まさに臨月でした。

気づかない調教師も御間抜けですが、
普通に調教をこなしていたカズノコマチもタフとしか言いようが無い。

一番の問題は、誰が父親だ?ということ。
厩舎に預けられている間は、完全に管理されているので種付けなんて無理。
そもそも発情期にならなければ牝馬は妊娠しないものです。
当て馬という言葉があるように、わざわざ牝馬に年頃の牡馬を近づけて
人工的に発情期を起こさせ、本命?の牡馬が
毎年4月に種付けをするものなのです。全て人間の思惑によって。

厩舎では無理。
ということは、デビュー前の牧場で既に種付けを済ませていたことになります。
牧場もこれからデビューする馬に対して、そんなことしません。
つまり。
自然の営みによって妊娠してしまったのです。

カズノコマチは、妊娠が分かった日に誰も見てないところで
自厩舎内で元気な牝馬を産みました。

マスコミ関係者も注目しました。
前代未聞の出来事です。
付けられた名前が、「船橋のヤンママ
3歳時に妊娠、人間で言うと15歳です。
(金八先生レベルですね。年がバレますが・・・)

産まれた仔は、ママのお腹の中で既にレースを経験している事になります。
カズノコマチの父はダービー馬ウイナーズサークル。
競走馬の能力を期待させるバックグラウンドは備えてあります。

しかし、その仔は競走馬としてデビューできませんでした。
最初に述べたとおり、競馬というのはブラッドスポーツ。
競走馬になる為には、
六代前までの血統が分かっていなければ、認められませんでした。

全ての繁殖牝馬は、人間が決めた相手(牡馬)と結婚させられ、
種付けをし、子供を産みます。
ビジネスライクな考えで、
サラブレッドを商用馬として扱うのが当然の世界でした。
だけど、カズノコマチだけは違ったんですね。

彼女は、牧場で年頃の女性と同じ様に恋をしたんです。
そして、子供を宿したのです。
考えてみれば、普通のことですよね。
素直に感情を受け入れただけなんです。

Oyako








愛のある種付けで生まれた子供が、
競馬界からは認めてもらえないなんて悲しい現実です。

産まれた子供は、その後乗馬として育てられました。
そして名付けられた名前が「トミサトハッチ」
勿論由来は(みなしごハッチ)から(苦笑)

偉大なるヤンママ、カズノコマチは出産後、レースに戻りました。
その時の馬体重が前走比-61キロ(笑)

親子共々ファンから愛され、今は牧場で余生を送っています。

競馬がブラッドスポーツであるが故に、
血統上から抹殺されたことは仕方がないかもしれません。
しかし、そんな親子を温かく迎えてくれる場所が他にあればなぁと
考えてしまいます。
何千万の金が動くサラブレッドの世界。
そんな甘ちゃんな考えは愚かで、現実味の無いことなのでしょうか?

決められたルールは、格式、礼儀を正す意味で必要です。
しかしそれを重んじるが故、
純粋で素直な感情が押し殺されることは、残念ですね。
人間界なら、身近なところで会社のルールになるのでしょうか。
あなたは、どう思いますか?

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