Shibuya 2.0
前回は80年代の渋谷について書きました。あっという間に2月。
「福は内」と切に願う狛犬です、こんにちは。
今回も前回に続いて渋谷について書きます。
■□Shibuya 1.0(前回のつづき)
メディア、企業によって一方的に「物語」が提供される(あるいは捏造される)
そうした「物語」にのっとって都市は「演出」され、演出された都市はひとつの
「舞台」となる。この用意された「舞台」の上で我々(消費者)は、「物語」を
生きる者として、つまり「役者」として振る舞う。こうしたテーマパーク的な
戦略のもと消費空間として整備されたのが80年代の渋谷でした(Shibuya 1.0)
前回ちょっと触れましたが、同様のケースとしてある種の「まちづくり」が
挙げられます。例えば「歴史のある街づくり」のようなものでは「本当の歴史」
が重要なのではなく、いかにも「歴史を感じさせる」要素が重要なのであり、
街は「歴史テーマパーク」的に演出されます。
そしてこれはディズニーランドと同じ戦略です。
←とある観光地の駅舎。
ディズニーランドでは、ゴシック風のアーチから、イスラム風のドーム、
コロニアルスタイルまで、とにかく様々な建築の様式が散りばめられていて、
目がクラクラします。まさしく、イッツ・ア・スモール・ワールド♪
世界の縮図というか、パロディ化された世界というか、とにかく退屈しません。
様式の歴史的意義はここでは一切無視され、それらは徹底してディズニーの
物語世界を演出するために動員・コラージュされた記号でしかありません。
中世ヨーロッパ建築のパロディとして作られたドイツの
ノイシュヴァンシュタイン城(右)をモデルに作られたのが
シンデレラ城(中)。パロディのパロディ!
こうしたマスマーケティング的に提供された「物語」が有効であればそれは
それでOKですが、現代の渋谷ではこうした「物語」はそれほど効果がある
とは思えません。それでは次に現代の渋谷を眺めていきたいと思います。
■□物語の終焉 空間から情報へ? Shibuya 2.0
そんなきわめてテーマパーク的な物語性に支えられていたのが
80年代の渋谷であったとするならば、現在の渋谷を支えているのは
「情報へのアクセス可能性」であると見ることもできます。
「お洒落で楽しい」街から「渋谷に行けば何かがある(何でもある)」
という渋谷へ行く動機付けの変化(※某アンケート結果より)が意味する
のは、「舞台空間」としての渋谷から「情報アーカイヴ空間」としての渋谷
への変化です。
このとき、パルコの戦略で見られたようなハード的な舞台演出のための
仕掛けは重要ではなくなり、QFrontを引き合いに出しつつ、こうした
変化は実は建築的に重要なパラダイムのシフトであると建築史家の
五十嵐太郎は指摘していました。
つまり、古代ギリシア以降、多かれ少なかれ建築というのは「快適な空間」
なり「洗練された空間」なり「権威を示す空間」なり、「空間の力」でもって
何かを主張(演出)するものであったとすれば、QFrontでの空間はいかなる
演出も意図されておらず、ガラスのファサードと巨大なスクリーンによって
建築の存在が極限まで希薄化された単なる「情報の倉庫」に過ぎずない、
ここで空間はもはやどうでもよくて情報へのアクセス可能性こそ重要なのだ、
というわけです。
建築がランドマークなのではない。巨大なスクリーンが映し出す広告(=情報)
こそがランドマークである‥という点で、QFrontは確かにとても象徴的な
現代建築と言えます。何世紀にもわたって建築を支配してきた「空間」の
「権威」が、渋谷においては一瞬にして失効してしまったのですから。
■□実はカッコつけて2.0などと書いちゃいました。
新たな局面、という単純な意味で「2.0」と気取ってみたものの、
いわゆる「Web2.0」的な概念とリンクする都市的要素について考えていく
というのが、都市マニヤの今後の課題なのかもしれません。
オープンソースな空間だとか、ユーザー参加型リッチインターフェース
なショップだとか、進歩的分散志向な都市的サービスだとかなんとか。
要するに、都市というのが今後ますます「情報のプラットフォーム」的
な空間へ変容していくのではないか、と漠然と夢想することもできます。
「東京ユビキタス計画」+「google」+「iPhone」で楽しい街歩き♪とか。
ここに「Summary Net」が加われば、最強ですね。
と、これまで2回にわたって、つらつら書いて来た「渋谷のお話」ですが、
これもひとつの見方に過ぎなくて、それでもこのような「渋谷神話」には
どうしようもなく萌えてしまうものがありますね。(ない??)
というわけで、これまでのブログの内容も踏まえて部屋の看板を変えました。
遅くなりましたが今年も皆様にとってよい一年でありますように☆ 狛犬
---------------------------------------------------------------参考文献
・ 『広告都市・東京』北田睦大
・ 『終わりの建築/始まりの建築ーポストラディカリズムの建築と言説』五十嵐太郎
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